Logic Waveがリバーブにこだわる理由

Logic Waveの代表・開発者の石橋敬三は、元々はプロの音楽家で複数の国際コンクールの入賞歴、ニューヨーク地下鉄の認定パフォーマーなど、海外での活動経験もあります。その多様な経験の中で、特にリバーブへのこだわりを強めてきました。


このページでは、Logic Waveがリバーブにこだわる理由を、代表自身の言葉で説明させていただきます。

 

Logic Wave 代表 石橋敬三

Logic Wave 代表・開発者 石橋敬三京都大学工学部中退。高校時代はエレキギターに熱中、大学入学後はマンドリンに転向。演奏家および作曲家として複数の国際コンクールに入賞し、国内では長岡京室内アンサンブルとの共演やNHKムジカピッコリーノへの出演、海外ではニューヨーク地下鉄の公認パフォーマー、NYファッションショーにおける音楽担当を務めるなど、幅広い活動を重ねる。
2022年、持ち前の仮説力と論理的思考により、数えきれない試作品を経て、自らが特許を保有する『natu-reverb』の実用化に成功。

 


▼執着心の原点


私は元々はギターを弾いていましたが、大学入学時にマンドリンと出会い、それ以降はマンドリンなどのアコースティック楽器をメインに音楽活動をしてきました。


マンドリンはギターと同様に弦を弾いて音を出すイタリア発祥の楽器ですが、ギターと比べサスティーン(音の伸び)が圧倒的に短いため、なめらかに演奏することが難しい楽器でもあります。

同じフレーズ(例えばドレミファソラシド)を同じテンポで演奏した音源の波形を見ると、違いは明らかです。

マンドリンの波形(上)はギターの波形(下)に比べて、食べ終わった魚の骨のように尖っており、音はすぐに途切れてしまいます。


comparison_mandolin_guitar


そのため、多くのクラシックマンドリン奏者は、残響の長いコンサートホールでの演奏を好み、そういった場所で演奏することを前提に表現を研究しています。


もちろん私も例にもれず、リバーブには強いこだわりと憧れを持っていました。

自宅のようにリバーブがない状態だと音楽が完成しない感覚すらあり、リバーブに対する執着は一般的なギタリストよりもかなり強いものとなりました。




▼リバーブを理解する


リバーブに対する強い執着心があったため、大小様々なコンサートホールからニューヨークのグランドセントラル駅構内のような場所まで、様々な環境で演奏しては残響を客観的に分析していました。


もちろん、アコースティックな残響だけでなく、デジタルエフェクトによるリバーブについても様々な視点で分析していました。


エフェクターのリバーブを扱ったことのある方であればお判りになるかと思いますが、リバーブには主に次のようなパラメータが定義されています。

  1. プリディレイ(残響開始までの時差)
  2. ディケイ(残響の長さ)
  3. デプス(空間の広さ)
  4. 初期反射(最初の反射音)

reverb_parameters

コンサートホールなどで実際に発生しているリバーブは、これらの要素の数値である程度説明することができます。

このような構造的理解と実際の演奏経験により、私はリバーブを体系的に理解できるようになりました。

一方で、理解すれば理解するほどリバーブの奥深さを思い知ることとなり、リバーブが音楽の重要な要素であることを改めて確信しました。

 
 


▼理想の追求


私が理想のリバーブを追求しだしたのは2010年頃でした。


まず、理想のリバーブを考えるとき「誰にとっての理想か」という事はとても重要です。実際にどの位置で聴くかによって響きが変わってくるからです。コンサートホールでも、真ん中で聴くと良い響きであったとしても、端のほうで聴くと低音の残響だけが強調されてバランスが悪いこともあります。


コンサートホール


そこで、まずは「奏者の耳にとって理想のリバーブ」を考えることとしました。要するに、”演奏者本人が弾いていて気持ち良いかどうか” を重視することにしたのです。


そう考えると、リバーブとは「とても面倒なもの」に思えてきました。

楽器と自分自身だけで再現できるものではなく、ホールなど個別の場所や機材に依存することになるからです。

その日によって微妙に違うセッティング、アンプの角度、その他の環境の変化により、まるで日替わりのように変化するリバーブを受け入れないといけないのです。


せっかく理想のリバーブを作れたとしても再現性がないと意味がありません。


考えた結果、再現性を持たせるためには、楽器自体の生音にリバーブを加える必要があるという結論に至ったのです。

 



▼生音にリバーブを追加する


2011年頃からは、どうすれば生音にリバーブが追加できるのかを考えていました。


# 振動スピーカー実験

最初に考えたのは、振動スピーカーを楽器に取り付けるアイデアでした。振動スピーカーとは、振動する素子を響板に取り付け、信号を振動として響板に送って音を増幅する装置のことです。


このアイデアのことを簡単に説明すると「リバーブエフェクトをかけた信号を振動スピーカーを介して楽器本体にフィードバックする」というものでした。これは、後に発売されるYAMAHAのトランスアコースティックギターと同様の発想かと思います。

この動画は2011年当時の実験の一部の様子で、実際に振動スピーカーを楽器に取り付けています。画質が荒いですが、あえて当時のままの動画を掲載しています。


 



# アンプと生音の決定的な差

「自然で楽器の生音に溶け込むサウンド」を実現するための数々の実験の中で、アンプと生音には決定的な差があることがわかりました。


アンプで音を出す場合、奏者は手元の楽器の音と併せて、客観的にリスナー視点でアンプからの音を同時に聴くこととなります。一方で、生音にリバーブを追加する場合、完全に奏者視点でのサウンドとなります。

この差は想定以上に大きく、アンプを使う時とは考え方を大きく変える必要がありました。数値で表せる時差や位相差はもちろん、人間の心理的な部分も含め、体感ベースで全く違うサウンドの印象になるのです。


その点を踏まえ、最適なリバーブバランスになるようnatu-reverbの開発を進める必要がありました。




▼開発までの道のり


# アイデアの発酵期間

2011年の時点で、理想のリバーブを実現するために、やるべきことは次の3つに絞られていました。

  1. 楽器に取り付けるスプリングリバーブ
  2. 自然で楽器の生音に溶け込むサウンド
  3. 演奏を邪魔しない設計、構造

しかし、これがなかなかに難しく、当時の私の知恵、知識、技術では実現までのハードルが高すぎるようにも思いました。


また、他にやるべき仕事が山のようにあったため、このアイデアは頭の片隅に追いやられるようになりました。


Logic Wave 石橋敬三

 

# コロナ禍で掘り起こされたアイデア

一度は頭の片隅に仕舞ったアイデアが再び息を吹き返したキッカケは、2020年のコロナ禍でした。

巣ごもりの時間が増え、私自身も自宅で楽器を演奏する時間が増えました。また、これまでの活動や人生を振り返って俯瞰して内省する機会も増えました。


自分が今何をすべきかを考えた結果、これまで温めてきた数々のアイデアの中でも「理想のリバーブを実現すること」が最優先に浮上したのです。


これはもちろん自分自身の夢の実現を目指すものではありますが、自宅でギターを演奏する全ての方により良い体験を提供したい、という思いも含まれていました。


この「理想のリバーブを実現する」という決心をスタート地点として、natu-reverbの開発を開始しました。


その後のことはnatu-reverbの開発秘話に書いてあるとおりです。


ナチュリバーブ

 


▼リッチな楽器体験を提供したい


以上の経緯で、構想から約10年後、2022年にnatu-reverbを発表することとなりました。


人々の生活は年々変化し、また多様化が進んでいます。一方で、ギターなどのアコースティック楽器は、昔も今も変わらぬ良さがあります。

アコースティック楽器の良さはそのままに、現代の生活においてより良い楽器体験となるよう、これからもユーザー視点を重視した商品開発を進めて参ります。


より多くの方が、アコースティック楽器をもっと楽しめることを期待しています。

商品のことで分からないことがあればお気軽にお問合せください。

記事一覧

リバーブにこだわる理由

Logic Waveがリバーブにこだわる理由を、代表/開発者自身の言葉で説明いたします。

ミリ単位のトライ&エラー

私たちの主力商品であるnatu-reverbにこめられたミリ単位のこだわりについてご説明します。

natu-reverbの開発秘話

natu-reverbについて、企画開発スタート当時を振り返り、その経緯をご説明します。

インタビュー企画『Echo』

Logic Wave商品をご利用中のアーティストさんに、商品の活用法や音楽への想いを伺います。

~ 購入前のお客様へ ~

お得な情報が届くメルマガに登録しませんか?

メルマガにご登録いただけると、初回購入時にご利用いただけるお得なクーポンを配布しています。

ご登録後、配信が不要になった場合はメール内リンクから配信解除できますので、まずはお気軽にご登録ください。

メルマガ登録画面へ