Cantareelのセッティング方法
Cantareelのセッティングは慣れると簡単ですが、最初はゆっくりと進めていきましょう。
動画で丁寧に解説しましたので、どうぞご覧ください。
セッティングのコツを知るには、このページ下部の「よくある質問」もご確認ください。
●注意点1: ループに松脂を付ける際に、強く圧力をかけすぎるとループが切れることがあります。
松脂の表面にカッターで傷をつけておくと、滑らせるだけで松脂を付着させることができます。
●注意点2: 調整プレートで高さを上げるのは、車輪が弦に当たるときだけにしてください。
高さを上げすぎると無理なテンションが加わり、故障の原因となる場合があります。
よくある質問
Cantareelはどうやって生まれた?
Cantareelは、Logic Waveの開発者である石橋敬三が2025年に考案した新しい発明品です。
さて、弦を擦って音を出す擦弦楽器の中で最も有名なのはバイオリンですが、世界にはまだまだ多種多様な楽器があります。
例えば、11世紀以前のヨーロッパで生まれたハーディガーディ [hurdy-gurdy] という古楽器があります。その楽器は、大きな木製のホイールで弦を擦って音を出すユニークな仕組みを持っています。
Cantareelはホイールで直接弦を擦るのではなく、ホイールを動力として機能させて弦に触れるループを動かすものなので、厳密には異なる原理のアタッチメントです。ですが、hurdy-gurdyという歴史の産物があったからこそ、Cantareelは生まれたと言えるでしょう。
いわば、先人たちの知恵と歴史に敬意を払い、現代のアイデアと技術で再生(ルネサンス)したものが「Cantareel」です。
そういった背景があるからこそ、私たちはCantareelに対し、「新しさ」と「懐かしさ」を同時に感じるのかもしれません。
Cantare(イタリア語で「歌う」という意味)と、Reel(フィルムやテープを巻き取る道具)を組み合わせで生まれた名称です。ハンドルを回し、歌うような演奏を楽しむことを表現しました。
弦は何を張ればいいですか?
通常のギター用弦で問題ありません。
ただし、Elixirなどの「コーティング弦」は音が出しづらいため、お勧めしません。
アコースティックギターの場合は、.011-.052くらいのLightゲージ、クラシックギターの場合はテンションの強めの弦が良いでしょう。
ループの張りを強くすると音は大きくなりますか?
付属のプレートを使ってCantareelの高さを上げると、確かにループの張りは強くなります。ですが、ループの張りが強くなったからと言って、音量が大きくなるわけではありません。
それどころか、無理なテンションが加わって故障の原因となることがあります。プレートを使って高さを上げるのは、車輪が弦に当たっているときだけにしてください。
音を大きく出したいのであれば、松脂の塗り方を工夫すると良いです。
ハンドルを速く回せば音は大きくなりますか?
豊かな音を生み出すためには、ハンドルをむしろゆっくりと、一定の速度で回してください。
速く回したり、速度にムラがあると、松脂が溶けてしまい、空回りする原因となります。
まずは、最低限の速度で、安定して回す習慣を身につけましょう。
昨日と今日で音が違う気がします
Cantareelは、弦や松脂の状態だけでなく、気温や湿度といった環境の影響も受けます。そのため、毎回まったく同じ音を再現するのは難しいかもしれません。
ですが、それこそがCantareelの魅力でもあります。毎日の微細な変化の中で、音と対話し、今だけの物語をお楽しみください。
音が鳴りません / 鳴らなくなってしまった
1. 松脂をきちんと付ける
音が鳴らないケースのうち、大半は「松脂がきちんと付いていないこと」が原因です。
まずは、改めてカッターで傷を入れてから、しっかりと松脂を塗ってください。
2. 弦の松脂を除去する
その次に多い原因が「弦に松脂がこびり付いて滑っている」です。
弦に付着した松脂の塊をクロスで丁寧に取り除いてください。
このとき、オイルやポリッシュは使わないでください。
3. 松脂や油を脱脂する
それでも鳴らない場合は、ループに付着した松脂が滑っている可能性があります。
また、手の汗や脂、金属パーツに付着した潤滑油がループに付着した可能性もあります。
ループ、弦を全てきれいにしましょう。
レモンオイルやポリッシュを使う場合は、完全に乾くまで、最低半日は松脂を塗らずに放置してください。
松脂を塗ってもループが弦に引っ掛からない
松脂をきちんと塗っているのにループが弦に引っ掛からない場合、松脂に原因があるかもしれません。
松脂のコンディションは気温や湿度に影響を受けます。
Cantareelに使う松脂は色の濃いDarkタイプを推奨していますが、Darkの松脂は特に気温や湿度が高い環境が苦手です。涼しい場所で松脂を保管しましょう。夏場のみLightタイプの松脂を使うのも選択肢のひとつです。
ノイズを抑えるにはどうすればいいですか?
Cantareelはギターの表面板に直接取り付けるため、ギターとの相性や設置場所によってはノイズが発生することがあります。
気になる場合は以下をお試しください。
・6弦と1弦の張力を上げてしっかりと固定するようにしてください
・Cantareelの脚の底に防振クッションを付けてください
6本の弦を同時に演奏できませんか?
フックを使わずに何らかの方法で固定すれば、5本以上の弦を同時に演奏することは可能です。
ただし、その場合、ループが最低でも3本必要になり、また角度が付くため弦にかかる圧力が不安定になります。
また、6本すべての弦を鳴らしてしまうと、音が濁り、メロディが埋もれてしまう場合が多いです。
決して6弦と1弦を仕方なく捨てたものではなく、「過剰な響きを防ぎ、なおかつ固定作用の役割も与える」という積極的な選択をとったものです。
なお、6弦と1弦は擦弦での演奏はできませんが、共鳴弦としては機能しますし、ピチカートでの演奏は可能です。
ループは交換する必要がありますか?
ループは、弦と同様に消耗品ですが、さほど頻繁に替える必要はありません。
何かの拍子で切れてしまったり、伸びてしまった場合に交換してください。
そうでなければ、演奏頻度にもよりますが、半年程度を目安に交換すると良いでしょう。
Cantareelのチューニング例
Cantareelは、通常のギターにおける2弦から5弦までの4本を使って演奏します。
チューニングの可能性は無限大ですが、ここではいくつか代表的な例を挙げます。
【DADA】アイリッシュなど民族的な響きからクラシックまでオールマイティに演奏したい方はDADAがおすすめです。
【ADGB】ギターのレギュラーチューニングのまま演奏する方法もあります。少しテンションのきつさを感じるかもしれません。
【GCEA】ウクレレと同じチューニング(正確には1オクターブ低い音程)にすると、コードなどを演奏する際に便利です。
指板表など
もっともおすすめのチューニング、DADAにおける音階を指板上で表しました。どうぞご利用ください。

また、Cantareelは教会旋法(モード)との相性が抜群です。
難しく考えず、任意のモードの音程をなぞるだけでも、雰囲気のある演奏ができるのでお勧めです。ぜひお試しください。






